☆りんふろらいぶらりぃR☆

 ■ただ抱き締めるために//カシム募金組合(管理人)

 

 





身支度を整えるためにしつらえられた鏡に、乱れていく少女たちの姿が写る。
貪るように唇を奪われながら、フロリーナは、鏡を見ずにはいられなかった。
鏡には、衣服をすべてはぎとられ、
目に涙をためながら唇を蹂躙される、自分。
けれど、彼女は見ずにはいられなかった。
そっと、自分を貪るけものの首に腕をまわす。
その首はしなやかで、その背は筋肉の盛り上がりで、
官能的ともいえる曲線を描いている。
フロリーナは、そのけものの背中から目をそらすことが出来なかった。
いつもはそれほど意識するほどではないのに、
その背中を指でなぞると、フロリーナの指は儚いほどに華奢にみえた。
けものは圧倒的な力で、彼女を鏡の向かいの壁に押し付けて、
抱きすくめて、放そうとしない。
フロリーナは指で、舌で、目で、全身で、けものの存在を感じた。
身体を這う、その、女にしては大きな、剣ダコのできた手のひらを、
惜しげもなく見せ付けた、その堅い曲線を描く肩を、
どんな業火からも彼女を守ってくれるつもりなのであろう、
たしかに女であるのに、寄りかかれるだけの頑強さを備えた、
その背中を。

出会った頃の彼女の背中と、
今フロリーナを抱くけものの背中。

あのころの明るい少女は、少女に会って、自らをけものへと変えることを決めた。

彼女を抱きすくめられるだけでよかった。
彼女をこの背でかばえるだけでよかった。
疲れたなら、ベッドへ運んであげられる、
それだけの力があればよかった。

ふつうの少女を愛したのなら、それだけでよかったのに。

望んで、戦場へ赴く、傭兵騎士。

彼女がその少女を愛するには
その少女を守るには
その少女を寝床へ運んでやるには
少年ほどの力では、とてもかなうものではなかったから。

あのころの明るい少女は、馬のたてがみをなでる優しいその手に、剣を握った。
やわらかな身体が、鞭のような筋肉に覆われるまで、少女は剣を振った。

やさしい、やさしい、リン。

私が普通の女の子だったらよかったのに。

「フロリーナ」

不意に唇を離し、リンはフロリーナの瞳を至近距離から覗き込んだ。

「遠い目、してる。何考えてたの?」

リンはうっとりと半眼で、フロリーナに切ないほどのな笑みを見せる。

「何にも考えないで」

ふと、涙がこぼれそうに見えた。

「私のこと以外、何も考えないで。何も見ないで」

倒れこむように、リンはフロリーナを抱きすくめた。

「フロリーナしか見えないの」

命をかけたような呟きが、フロリーナの耳元に吐きかけられた。

フロリーナの思考は、熱い吐息の中に溶けていった。




おしまい♪ 

 

 

カシム募金組合が管理する18禁サイトで拍手お礼に使っていたものです。

けだものリン様その2vv
彼女はフロリーナちゃんのとなりを確保するために剣を振るい始めたのですvvv
フロリーナちゃんが騎士になるから、剣士になった。
フロリーナちゃんと共に戦場に赴いて、少しでも近くで彼女を守れるように…
それを知っているフロリーナちゃんは葛藤する…
けれど、リン様は幸福なのだから、フロリーナちゃんが悲しむことなんて、本当はしなくてもいいんです…。

 

 

 

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