☆りんふろらいぶらりぃR☆

 ■花咲く旅路//カシム募金組合(管理人)

 

 

*リン編で、キアランに入ったあたりの話です。
*すみません、エルクとセーラがいるはずなのに全く出てきません(泣)
笑って許して下さい…!!

 

花咲く旅路

 


 ふたりにとって、それは初めての経験だった。

 もちろん、リンがフロリーナの家を訪れたこともあった。
 たが、たいそうフロリーナを愛しているらしい姉のフィオーラが、内気なフロリーナがわざわざ家に連れて来るような親しい友人、しかもサカの民であるリンに大変興味を持ち、夜遅くまでお茶を飲みながら話すことが多かった。
 それに、フロリーナの姉達はリンを歓待してくれ、広い客間をリンに開放してくれた。
 リンとしてはベッドや部屋など狭くてもかまわなかったのだが。

 フロリーナがリンのもとを訪れた時には、家族が肩を寄せ合って眠るゲルで、ふたりは同じ毛布にくるまって眠った。
 最初フロリーナは遊牧民のあまりに早い朝と、その仕事の多さに驚いたが、客人であるにもかかわらず、いつもリンの仕事を手伝った。
 リンの手が早く空けば、ふたりで森へ行けるから。
 バスケットにランチをつめて、せせらぎの聞こえる森へ。
 簡素な敷物をしくだけだったが、かまわなかった。
 そこでだけ、ふたりは、ふたりになれたから。

 …だから、それはふたりにとって初めてだったのだ。
 ふたりきりの部屋で、同じベッドで眠るのは。

 木造の螺旋階段は少しきしんだ。
 フロリーナを先に登らせ、リンは壁を手でなぞりながら登る。
 段が狭いので危なっかしいフロリーナを、リンは抱き上げて登ろうかと思った。
 もう1階あったらそうしていたかも知れない。
「大丈夫?」
「うん…」
 廊下は思ったほど狭くはない。ふたりは並んで歩いた。
 突き当たりの部屋の前でリンが鍵を取り出す。
 鍵などあまり扱ったことのないリンが、ぎこちない手つきでドアノブをいじるのを、フロリーナはぼうっと見ていた。
 深く、短く切られた爪は、よく磨かれて光沢をもっていた。
 剣を握るせいか、ふつうの少女よりも厚く、大きめで、ふしの目立つ手。
 見ていると急に、その手にまつわる記憶が呼び起こされ、フロリーナはひとり赤面した。
「フロリーナ?」
「え、あ、うん」
 かなり手間取って開けたドアに、フロリーナを先に通す。
「思ったより広いね」
 フロリーナがそう言って振り返るのとほとんど同時だったろうか。
 リンは先ほど奮闘していた鍵穴にまた鍵をさし、がちゃり、と回した。
 フロリーナは黙ってリンを見つめた。
 今わたし、どんな顔をしているんだろう。
 頭の隅でちらりと考えた疑問に答えたのはリンだった。
 フロリーナは、大股に近づいてきたリンに、びくりとして後ずさろうとした。
 が、それは叶わなかった。
 リンはフロリーナの細い肩を、腰を引き寄せ、強い力で抱きすくめた。
「リン…」
「…やっとふたりっきりになれたわね」
 リンの声はいつもより低くかすれていてた。
「ずっと、抱きしめたかったの。こうやって…」
 体が熱かった。
 どちらの熱なのかわからない。
 リンはフロリーナの熱が流れ込んだと思い、フロリーナはリンの熱が伝わってきたのだと思った。
 少し体を離し、フロリーナが控えめに顔を上げると、次の瞬間激しく唇を貪られた。
 耐え切れない熱情が、体の中を焦がしながらあふれ出てくるのを、リンは感じ取れた。
 私を全部飲んで欲しい。
 貴女を全部飲み干したい。
 舌をからめ、歯列を奥歯までなぞり、フロリーナが苦しげにうめいても、まだリンは唇を離したくなかった。
 こぼれてしまいそうな唾液をすすって、一度離した唇をまた吸い上げる。
「好きよ…フロリーナ」
 息とともに囁き、また唇を重ねる。
 押し返そうとしていたフロリーナの細い腕が、そっとリンの首にからまった。
 リンはフロリーナを抱え上げるように抱きしめながら、口づけをしたままそっとベッドに横たえた。
 いい?
 リンはフロリーナを見つめた。
 うっとりとフロリーナはリンを見つめ返す。
 リンは身を起こし、フロリーナのひざをそっと開かせた。

「リンディス様〜!フロリーナちゃん!夕飯食いに行きませんか〜!?」
 どんどんどん!という無粋なノックの音に、ふたりはびくりとして動きを止めた。
「……先に行っていて。すぐに行くわ」
「了解いたしましたッ!では俺のオススメ☆名物あぶり肉を注文しておきますので!お早めにどうぞ〜っ!」
 セインは足音高く、廊下を過ぎ、狭い螺旋階段を降りていった。
 リンが苦笑いで溜息をつく。
 フロリーナはちょっと不満そうに口をすぼめ、それから微笑んだ。
「ごはん、食べに行こ?」
「そうね。お風呂にも入って、あとでゆっくりつづきをしましょ」
 リンはフロリーナを起こしてやり、ふわふわとなでた。
 それからふたりは、唇をちょっと尖らせて、愛らしいキスをした。


 名物あぶり肉は、名高いだけあって非常にうまかった。
 ほどよい厚さの牛肉を軽くあぶるだけの料理であったが、この地方で飼育される質のよい牛肉は、それだけでとろけるような味わいをかもし出す。
 リンもフロリーナも、イリアとサカのもの以外口にしたことがなかったので、これほどまでに柔らかい牛肉を口にしたことがなかった。
「おいしい…!」
 リンの感嘆の声に「でしょう!?でしょう!?」とセインがはしゃぐ。
「リキアの味付けはどこの国の方もウマイ!!って言うんですよ〜!さあ他のものも!どんどんいきましょう〜!ああちょっと!羊肉に鶏皮さくさくサラダとぶどう酒追加〜!!」
「あまり調子にのるなセイン…キアラン公爵家にツケ…などと言ってまた追い出されるのはごめんだからな」
 夕食時の活気づいた店内では、店員と、夕食を楽しむ客達の楽しげな声が店いっぱいに飛び交っている。うまい料理と酒があれば、笑い声も大きくなるのだろう。
 しかし人ごみが苦手なフロリーナは別だ。リンはこそっりとフロリーナのほうを盗み見た。
 リンの視線に気付いたフロリーナは、ほころぶように笑った。
「おいしいね、リン」
「…うん!」
 リンはフロリーナの微笑みに、なぜか今にも泣きそうなくらいの幸福感をおぼえた。
 ああ、ずっと見ていたい。ずっと、こんなふうに幸せそうに微笑ませてあげたい…。
「こんなおいしい肉、食べたことなかったわ。ふふ、幸せ」
 …フロリーナと一緒に食べれて…。
 リンは目でそう言った。
 それに応えて、フロリーナはまぶしげに微笑んだ。

 まだ飲み足りないセインにつきあわされているケントを残し、リンとフロリーナ、それにウィル、ドルカスは風呂に入りに行くことにした。
「そうなの。サカにはお湯に入る習慣はないから。フロリーナの家に行った時に何度か入ったことがあるけど、慣れないわ…私は水のほうが好き」
「へえ〜、でもまあ俺もいつも行水で済ませてますけどね。ちょっと裕福な家庭でないと風呂なんて入れないですよ」
「水も大量にいるし、湯をわかす手間もあるしな…」
「てことは、フロリーナさんはちょっと裕福な家庭なんですね!」
 いきなり、しかも男性で弓兵のウィルにふられて、フロリーナはとびあがって体を固くした。
 それでもなんとか「は、はい、す、すこし…」と答える姿がいじらしい。
 リンはくすりと笑って、そんなフロリーナの頭をなでた。
「あ、すみません」
 ウィルが苦笑する。
「いいえ。でも、大分慣れたでしょう、フロリーナ?がんばっているものね」
「う、うん…あの、ウィルさん、ごめんなさい…」
 まだまともに顔を見ることはできないが、フロリーナはウィルにむかってぺこりと頭を下げた。
「い、いやあ、そんな気にしなくていいですよ。人見知りしちゃうのは仕方ないですから」
「…あ、ありがとうございます…」
「いや、ホント、顔上げてくださいって」
 そんなやりとりをしながら歩いていると、岩場に木の囲いが見えてきた。
「着いたみたいね。じゃあ、私たちはこっち」
「俺たちはこっち…おやすみなさい、リンディス様、フロリーナちゃん」
 ウィルとドルカスの背中に向けて、とても小さな声で「おやすみなさい」と言ったフロリーナの髪を、リンはそっとなでてやった。

 風呂は岩場を利用して作られていた。
 岩を積んで池にした風呂を囲む板塀は簡素な物で、話し声まで聞こえてしまいそうだ。
「もともと温水が湧いてるのね。だからあんなに安くてもお風呂があるんだ…」
「すごいねリン!夜空を見ながらお風呂に入れるなんてすごい!」
 物珍しそうにつぶやくリンの横をすりぬけ、フロリーナは脱衣かごを持ち出して服を脱ごうとする。しかしワンピースの背中のホックがなかなか外れない。
 リンはふっと微笑み、後ろからフロリーナの肩に手をかけた。
「やってあげる」
「うん」
 フロリーナが背中にかかる薄紫の髪を持ち上げると、リンはホックをはずし、腰の下まであるチャックをすべて下ろした。
「ありがとう……あっ」
 フロリーナが髪を持ち上げている手を下ろすと、いきなりワンピースが滑り落ちた。
 リンが引っ張ったのだ。
「背中、外しにくいんでしょ?やってあげる…」
「い、いいっ…」
「やってあげる」
 リンはフロリーナのブラジャーのホックを外し、素早くそれを剥ぎ取った。
「やん、下はだめ…恥ずかしい…」
 よろよろとリンの腕から逃れ、フロリーナは両手で胸を隠しながら上目遣いにリンを非難した。
 リンはその姿を満足そうに眺めてから、フロリーナのワンピースとブラジャーを脱衣かごに入れ、自分の服に手をかけた。
「人、いっぱいいるしね。許してあげる」
 ほっとしたフロリーナに、しかしリンは意地悪く笑いながら命じた。
「自分で脱いで見せて」
「え…」
「脱がなきゃお風呂に入れないでしょ?脱いで見せて…見ててあげるから」
 フロリーナが戸惑う姿を腕を組んでリンは眺めた。
「言うこと聞けるわね?」
 フロリーナはうつむいてしまい、小さな声で「恥ずかしい…」と抗議する。
「そうね、恥ずかしいわね。だから見ていてあげる」
 腕を組んで見下ろすリンに、怯えたような視線を送ると、フロリーナは観念して白いパンティーを下ろした。
 それから、また上目遣いにリンを見る。
「…いい子ね、子猫ちゃん」
「…先に入るっ!」
 フロリーナはぱたぱたと岩風呂へ走って行った。
 転びやしないかと少しはらはらしながら、リンはその背中を見送ったが、フロリーナは無事風呂までたどり着いたようだ。
「…ちょっと味気なかったかな。今度はもっとゆっくり脱がせなきゃ…」
 リンはふっと笑いながら、ひとりごちた。

 リンが体を洗い始めるころ、フロリーナは既に洗髪へと行程を進めていた。
 体を洗ってやろうと思っていたのに…そう思いながら、髪を洗うフロリーナを眺める。
 やわらかな体の線、背中、腰…地肌を洗う振動で揺れるかわいらしい胸…しなやかで細い脚、その間からかすかにのぞくささやかなしげみ。
 リンはいつのまにか体を洗う手を止め、フロリーナに見入っていた。
 身体の奥で、熱いものが蠢くのがわかる。
 リンは知らずのうちに、とがった舌を、自らのうすい上唇に這わせた。
「リン…ってば…」
 フロリーナと目が合って我に帰った。
「もうっ、どこ見てるの」
 「ごめん」と笑うと、フロリーナは急いで髪の泡を流し、湯船へ行ってしまった。
 恥ずかしがりやなんだから…少し笑って、リンは手早く身体と髪を洗った。
 身体はまだ疼いている。
 かまわない。きっとフロリーナも同じだから。
 リンは湯船に入ると、フロリーナに寄り添った。
「川の音が聞こえるわね…」
 暖かい水の流れる川岸なのだろう、話をする邪魔にはならないくらいに、川の流れる音がする。
「森を思い出すわね」
 フロリーナはすこし微笑みながら、こくん、と頷いた。
「ね…」
「…あっ」
 リンは水面下でするりとフロリーナの秘所に手を滑り込ませた。
「や…こんなところでっ…」
「フロリーナが頑張ればばれないわよ」
「ひどい…リン…」
 ゆったりと微笑みながら、リンは人差し指と薬指でフロリーナの割れ目を押し開き、フロリーナが一番感じる場所…クリトリスを中指で撫でた。
 びくん、とフロリーナの肩が揺れる。
 両手で口元を押さえ、必死に声を殺すフロリーナを横目に眺め、リンは満足げに微笑んだ。
 中指の速度が増す。
「ねえ、フロリーナ、星がきれいね」
 わざと明るい声でリンはフロリーナに声をかける。
「夜空を見ながらお風呂に入れるなんてすてき、って言ってたじゃない。…ふふ、星座の名前、わかる?フロリーナ。イリアとサカでは星の呼び方が違うけれど、リキアではどうなのかしらね?セインは知らなそうだから、明日ケントにでも訊いてみましょうか。ねえ、フロリーナ?」
 フロリーナは眉根をよせ、潤んだ瞳でリンを睨んだ。
「リンの…いじわる…」
 いかにも満足そうに、リンは満面の笑みを浮かべた。
 それはフロリーナ以外誰も見たことがないであろう、ともすれば残酷そうにさえ見える微笑だった。

 追いたてられるように階段を上るフロリーナ。
 彼女が振り返る先には、微笑みながら、追い詰めるように大股に近づいてくるリン。
 小走りに逃げるフロリーナの白いガウンが、ひらひらと誘うように揺れる。
 廊下の突き当たりに追い詰められて、フロリーナは壁に背中をついた。
 バン!と、リンが音をたててドアを叩く。
「どうしたの、フロリーナ。部屋はここでしょう?早く入りなさい」
「…はい…」
 リンの顔色を窺うように視線を送りながら、フロリーナはドアの鍵をあけ、部屋に入った。
 あとから入ってきたリンに鍵を取り上げられ、フロリーナはよろめいてベッドに腰かけた。
 がちゃり、と、鍵が閉まる。
「ふたりきりになれたわね?」
 リンはテーブルの上のランプに火を灯した。
 そしてフロリーナの前に立ち、勝ち誇ったように腰に手をあてて、鍵をぶらぶらと揺らす。
「子猫ちゃん…」
 口の端をくっ、と上げて、リンは笑った。
 ランプの赤い光に照らされたリンは、いつもよりもとても大柄に見えて、フロリーナは少しだけ怯える。
「欲しかったんでしょ?……ずっと!」
 上半身を強引に押し倒され、フロリーナはリンに組み敷かれた。
 リンはフロリーナの視線にニヤつきながら、持っていた鍵で、フロリーナの頬に触れた。
「つめたいっ…」
「気持ちいいんでしょ…?」
 頬から顎、首筋…鎖骨を通って鍵はガウンをはだけさせていく。
 するりと腰紐をはずすと、ガウンの前は完全に開いてしまい、フロリーナの裸体がランプの光のもとにあらわになる。
「はずかし…いっ……あんっ」
 鍵の冷たい感触が、薄いしげみの中をさわさわとまさぐる。
「あ…つめたい……いやぁ…っ…」
 リンは堪えきれなくなり、鍵を捨てた。
 そして自らの指で、陰毛のからむ感覚を楽しむかのように、フロリーナのしげみをいじりだした。
 覆い被さり、額から頬、耳へと口づけを刻みながら、絶え間なく蠢く指を絡める。
「ふっ……やぁ……いじわるしないでっ…」
 クスクスと笑いながら、しげみをいじっていた手を下腹部、腰へと這わせ、わきの下から両腕を背中に回し、リンはフロリーナを抱きしめた。
 背中を愛撫しながらリンは「ふふ…いじわる?どうして欲しいの?子猫ちゃん…」と吐息混じりに囁きかけ、そのままフロリーナの耳に舌をさし入れた。
「ひ、やぁっ…あぁっ…あっ…!」
 リンの舌が鳴らす、ぐちゅ、という淫らな音が、フロリーナの耳をいっぱいにする。
 首をふって抵抗しようとすると、頭を掴まれてしまった。
 固定されて逃れられないフロリーナの耳を舌で責めながら、リンは空いている右手を滑らせ、そっと胸を撫でた。それから優しく揉みしだく。
 フロリーナの耳を許してやると、ほとんど泣き声のようだった喘ぎ声は、ゆっくりと甘やかなものへと変化した。髪を撫でながら、頬に、額に、まぶたに、優しい口づけを降らせてやる。
 優しく出来るうちに、優しくしてやりたい。
 そのうち、燃えるような感覚が下腹部から身体を這い上がり、リンの頭の中を煮えたぎらせてしまうから。
 そうしたらもう、どうなるかわからない。
 さあ、火をつけて。
 フロリーナ。
「あぁ……はぁ……んん、焦らさないでぇ……」
 背筋がぞくりとする。熱が広がる。
「うん?どうして欲しいの?子猫ちゃん…」
「さわって…ぇ……はぁ……もぉ、ぐちょぐちょなの…」
 熱が背筋を駆け上がる。
「いやらしい子ね、フロリーナ……どうなっても知らないから」
 リンは悪魔のように目を細め、口の両端を吊り上げた。
 身を起こし、フロリーナの腰を持ち上げて自らの膝と身体で支える。
 そして足首を掴み、限界まで足を開かせた。
「本当、ぐちょぐちょね。よく見えるわよ…」
「やぁっ…、恥ずかし…い…っ…」
「ふふ、恥ずかしいの、大好きでしょう?ほうら!」
 リンはフロリーナの愛液で指を濡らし、クリトリスをぬるぬるとなぶった。
 突き抜けるような快感がフロリーナの身体を震わせる。
「あっ、い、やぁっ…!そんな、ああぁ…っ…あついっ…!」
「さわって欲しかったんでしょう?」
「そこはだめえっ…!」
「じゃあどこがいいの?ここ?ここ?」
 クスクスと笑いながら、リンは微妙に角度や位置を変えてやる。
 しかし一向にフロリーナの叫び声は変わらなかった。
「あつ、い、よぅっ…あああっ!いやぁ!おかしくなっちゃうぅ…!」
「じゃあやめる?うん?フロリーナ」
「いやあ…!はぁっ、はぁっ、あああっ…!!」
「ふふふ、ねえ、どっち?続けるの?やめるの?」
 フロリーナが『あつい』と訴えはじめたら、ほとんどどこを触っても『あつい』ままだと言うことを、リンは知っていた。そしてその感覚が、まだ未開拓な部分も多いフロリーナには、苦痛と快楽の中間であることも、容易に想像がついた。
 しかし、やめられない。
 もっと壊したくて、フロリーナを責めた。
 彼女の泣き声に酔ってくる。
 ねえ、フロリーナ、これ以上したら、私を嫌いになる?
 急に胸が痛んで我に返った。
 フロリーナは涙目で、リンに懇願していた。
「許して、許して…ください、おねがい…ぃ…ふぇ…」
「フロリーナ…」
 リンは手を引き、そっと覆い被さって、フロリーナを抱きしめた。
 髪を撫で、その中に顔をうずめる。
「…大丈夫?」
「…あ、…やさしい…リンだ……」
 息を調えながら、フロリーナが微笑む。
「ちょっといじめちゃったね」
「ううん……えへ…」
 しばらく見つめあうと、フロリーナがふいに、恥じらいながらうつむき、上目遣いにリンを見上げた。
「……もう、いじめてくれないの…?」
 ああ、また悪魔になってしまう。
 リンは微笑した。
「そんなこと言ったら、もう許してあげないわよ…」
 
「さあ起きなさい、子猫ちゃん!」
 フロリーナのすみれ色の髪を乱暴に引っ張り、リンは彼女の上体を起こした。
 ベッドの背もたれで身体を支え、フロリーナを後ろからしっかりと抱え込む。
 足を大きく開かせ、逃れられないように自らの足をからめた。
「足を開いてなさい。言うこと聞くのよ…わかった?子猫ちゃん」
「はぁっ……はい…、リン……」
「いい子ね」
 リンはフロリーナの剥き出しの秘所を右手で愛撫した。
「ひあッ…!」
 フロリーナの身体が跳ねる。
 わざと淫らな音が鳴るようにそこをいじってやると、フロリーナのそこは悦んで、さらに溢れた。
「ぐちょぐちょいってる。ねえ、聞こえるわね?フロリーナ」
「ひぃ、き、聞こえないもんっ…!」
「うそつき。聞こえてるでしょう?恥ずかしいからこんなに悦んで…ふふ、ほら、また濡れた」
「ちがうもんっ…あぁあっ…!」
「うそをつく子には、おしおき」
 微笑を浮かべたまま、リンは左手でフロリーナの胸の蕾をいじり、右手で秘所を責めた。
 フロリーナは言葉にならない声をあげ、リンの腕に爪を食い込ませる。
 リンの指の規則的な動きが、フロリーナを確実に絶頂へと導いていた。
 同時に、リンの疼きもまた、フロリーナの腰の動きに合わせて激しくなっていく。
「ねえ、フロリーナ…もう一度聞くわ……気持ちいいんでしょう?」
「ンっ、あ、気持ち、イイっ…、はぁっ…」
「いい子ね…やっと正直になった…」
 微笑むとリンは指の速度を上げた。
「ひあッ、ああ、ああ…っ、もっとぉ、もっとひどくしてぇっ…、あああっ…!」
「はしたないわね、フロリーナ…もっと恥ずかしいこと、言って御覧なさい…!」
「ああッ…ああ、リンんっ…きもちい…っ…でちゃう……でちゃうのぉ…っ…!!」
 フロリーナの身体がさらに激しく震え出す。
 限界が近い。
 リンは左手で、強くフロリーナを抱きしめた。
「フロリーナっ…!」
「あ、あぁ、ああああああーーッ!!!」
 激しい声と共に、フロリーナがびくん、びくんと身体を跳ねさせた。
 リンの手の中でフロリーナの秘所からどろりと愛液が溢れ出す。
 まだ断続的に跳ねるフロリーナの身体を、リンは抱きすくめた。
 愛しい。
 愛しい、愛しい、愛しい。
 愛しい愛しい愛しい愛しい、フロリーナ。
「フロリーナ…」
 乱れた息を調えるので精一杯でフロリーナは返事ができなかった。
 それでもかまわない。
 独白のように、リンは呟いた。
「フロリーナ…好きよ…フロリーナ………」
 目を閉じ、頬を寄せ、抱きすくめて、リンは呼吸のたびに彼女の名を呼んだ。
 やがて彼女が、果てて、眠りに落ちてしまうまで。


「おっはようございま〜す!今日もいい天気ですよ〜!」
 セインの声に顔を上げたリンの目には、いつもとは比べ物にならないほど覇気がなかった。
「おはようセイン。悪いけれどあまり大きな声を出さないでね」
「どうなさったので?」
「昨晩お酒を飲んだのだけど、慣れないものだったから今日に残ってしまったのよ」
 苦笑するリンに、セインは神妙な面持ちで深く頷いた。
「リキアの酒は慣れない方にはきついんです。俺もよお〜く存じております。承知しました、このセイン、今日はなるべく小声で参りましょう…!」
「ありがとう」
 リンが微笑むと、セインは他の者たちを集めて、少し離れた場所でなにやらこそこそと話しだした。
 リンが二日酔いだからなるべく小声で、などと皆に伝えているのだろう。
 と、リンの後ろに寄り添っていたフロリーナが、リンの腕に手をからめ、いかにもだるそうに頭をあずけてきた。
「大丈夫?」
「んん…とってもねむい…」
 リンよりもさらに覇気のない、ほとんど開かない目でフロリーナはぼんやりと遠くを見ている。
 苦笑して、リンはフロリーナの頭に自分の頭をこてん、とあずけた。
「宿で、夜だから、楽かと思ったけど…次の朝って、こんなにだるいものなのね…」
「うん……足…すごくだるい……歩くのも…つらい……」
「じゃあ、夜するのはもうやめておく?」
 リンの言葉に、フロリーナはばっと顔を上げた。
 驚くリンを必死な目で見つめる。
「いじわる言っちゃいや…」
 リンは笑いながらフロリーナの髪を撫でた。

ちなみにセインが「リンディス様は昨夜フロリーナちゃんと激しく愛し合ったから今日はお疲れだぞ!」と仲間たちに忠告したのを、彼女達は知らない。


おしまい♪ 

 

 

初めてお泊りするふたりを書きたかっただけなんです〜(^^;)

えっちシーンそんなに長くもないのに、二人とも…体力ないなあ(笑)

フロリーナちゃんはマゾっ気がある(断定)ので、ソフトSM調でいってみました。
リン様アブナイです。これからもっと増長しちゃいそうな予感です(汗)。

 

 

 

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